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三条遺跡は山形県寒河江市に所在します。縄文時代から江戸時代まで断続的に続く遺跡で、高瀬山の麓から東に広がる緩斜面に営まれ、現在は高速道路となっています。 約800年前、高瀬山寄りの小高いところに、長方形の溝で囲まれた屋敷が営まれました。溝は、最初30m×50m(約460坪)の規模でしたが、約100年後、6倍近い広さの70m×120m(約2,550坪)に拡張され、それに伴って屋敷も大きく建て替えられたようです。 溝の内側には、母屋や馬小屋などと考えられる掘立柱の建物と、物置などに使われたと思われる、地面を掘り窪めた竪穴の建物が配置されていました。 また、屋敷で使われたとみられる、陶器や磁器、かわらけといった焼き物が多数出土しています。陶器は、珠洲(石川県)、笹神(新潟県)、瀬戸(愛知県)などのものがあり、磁器は、中国などからの輸入品で、白磁や青磁、青白磁、青花などが見られます。かわらけは、素焼きの土器で、ロクロで作ったものと手捏ねのものがあります。 甕やすり鉢、碗、皿などといった日常の器とともに、天目茶碗や合子などの茶道に関係する器、擂り目があでやかな草の模様となっていて、特注品とも考えられるすり鉢などもあり、屋敷でのくらしぶりをうかがうことができます。 三条遺跡の屋敷は、大きな溝で囲まれていることや、多様な遺物が出土していることなどから、中世の重要な屋敷であったと考えられます。 |
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